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次世代研究インキュベータ

マルチモーダル計測医工学

画像による疾病診断の手法を開発する

――身体に負担の少ない診断を実現するため、複数のスキャニング技術を使った高精度な画像検査法の開発を進める

研究キーワード:医用工学、物理計測、マルチモダリティ

現在、医療現場での疾病の診断には、生検や切開が使われているが、先進的な医療用画像化技術を用いることで、非侵襲で高精度の疾病診断が可能になることが期待されている。本研究プロジェクトに参画する研究者たちは、医学と工学の専門知識を組み合わせ、画像技術を利用した斬新で非侵襲性の疾病診断や治療方法の開発を進めている。

具体的には、コンピュータ断層撮影(CTスキャン)、磁気共鳴映像法(MRI)、超音波など、各種のスキャン技術を用いて、様々な疾病によって引き起こされる細胞および臓器の変化を分析している。

本研究プロジェクトでは、高精度で非侵襲な画像検査法を開発するとともに、既存の画像化方法を強化して解像度を高め、より詳細な組織分析を可能にすることを目指している。

フロンティア医工学研究センター教授の羽石秀昭は、「特にがんの診断を行う際、がんの種類とステージを明らかにするために、多くの場合、侵襲性の高い不快な処置が行われています」と話す。「そこで私たちは、一例として高周波の超音波を用いて乳がんの診断につなげるシステムの開発を行っています」。

羽石が率いる研究チームでは、がん化の可能性のある組織からリンパ節を物理的に採取・摘出することなく、超音波を用いてリンパ節の細胞特性を分析できることを明らかにした。この手法により、リンパ節中の転移陽性および転移陰性の細胞をハイライトして表示させることで、迅速で痛みのない診断を可能にする。同チームではまた、2つ以上のモダリティから得られたデータを組み合わせる方法についても検討を進めている。2016年には、脳腫瘍のMRIと病理画像の2つのデータセットを1つのシステムに変換する画像位置重ね合わせ手法を開発した。

羽石は、「2種類の画像の位置合わせを行う再構成技術を確立することで、腫瘍の病理学的特徴を強く備えたとMRI画像を表示できます。最終的には、MRIの使用だけで診断を下すことが可能になるかもしれません」と期待を込める。「様々なデータセットの相関がわかれば、体内の実情を詳しく把握することができます。そうすれば、診断だけでなく、病気の発症や進行に対する理解を深めることもできます」。

新たな光プローブ

従来型の画像化技術と並んで、新たな光プローブに関する研究も進められている。その一つに、体内での赤血球の流れ(微小循環)のモニタリング方法がある。プローブには多色発光ダイオード(LED)が含まれており、LEDの光が組織を通過する際に散乱されると、光の一部が赤血球中の分子に吸収される。これにより、赤血球と赤血球が移動する微小循環ネットワークの様子をクリアで詳細な画像として捉えることができる。

これまでの研究結果から、腫瘍が疑われる部位周辺の各血管の酸素飽和度などの特徴が、このプローブを用いてリアルタイム推定できるのではないかと同研究チームは期待を高めている。この技術は、診断に利用できる他、腫瘍部位と周辺の血管の挙動について理解を深める上で役に立つと考えられている。「最終的には、このような画像化の手法を基盤にして、機械学習や人工知能技術によって測定された信号と診断結果を関連付け、 様々な疾病の包括的な理解につなげたいと考えています」。

本研究プロジェクトでは、研究者のアイデアを実現するための高度に専門化された装置や技術が利用できる。「臨床での応用に直接的に関わる最先端の研究開発に取り組みたいと考えている工学者や医学研究者を歓迎します」(羽石)。

Members

推進責任者
研究者名 役職名 専門分野
羽石 秀昭 教授(フロンティア医工学センター) 医用画像
全体統括
中核推進者(学内研究グループ構成員)
研究者名 役職名 専門分野
山口 匡 教授(フロンティア医工学センター) 超音波計測
林 秀樹 教授(フロンティア医工学センター) 消化器外科
吉田 憲司 助教(フロンティア医工学センター) 超音波計測
齊藤 一幸 准教授(フロンティア医工学センター) 電磁波工学
川村 和也 助教(フロンティア医工学センター) 医用ロボティクス
宇野 隆 教授(医学研究院) 画像診断学
中口 俊哉 教授(フロンティア医工学センター) 医用画像処理
色彩工学
菅 幹生 准教授(フロンティア医工学センター) MRI工学
大西 峻 助教(フロンティア医工学センター) 医用画像処理
池原 譲 教授(医学研究院) 実験病理学
糖鎖バイオマーカー
岩立 康男 教授(医学研究院) 脳神経外科
脳腫瘍学
早野 康一 講師(医学部附属病院) 食道胃腸外科
劉 浩 教授(工学研究院) バイオメカニクス
バイオミメティクス
坪田 健一 教授(工学研究院) バイオメカニクス
兪 文偉 教授(フロンティア医工学センター) ロボティクス
機械学習
物体認識

研究内容

プレスリリース

2016年5月10日 千葉?、安価な訓練器具の製品化により腹腔鏡?術の技術向上に貢献 全国に向け1700本以上を販売し、世界へ製品展開